初めて小説を読んで恐怖を感じたのは、
筒井康隆さんの「乗り越し駅の刑罰」です。
救いがないというか、なんというか、
とにかくこんな終わり方でいいのって感じでした。
まあ結果的にはその後筒井さんの本を読み漁るようになるのですが。
初期の筒井さんの作品はハチャメチャなものが多く、
もちろん笑えるんだけど、
いわゆる喜劇ではなく、悲劇的な喜劇というか、
人間のどこかに必ずひそんでいる、
普段はおもてに出さない隠れた狂気を感じたのです。
こんな小説を書くのはどんな狂った人なんだろうと思って
筒井さんのことを調べてみたんですけど、
本人はいたってまじめな常識人でした。
普通の人間の狂気に対するあこがれ、
これってけっこう誰でもあると思うんですが、
それを小説にしてるんだろうなって感じました。
その後、筒井さんは実験的な作品を次々発表します。
僕も「富豪刑事」にはこんな刑事ものってあるんだって
笑いながら驚かされ、
「虚構船団」には、その壮大な神話的世界に驚かされ、
「虚人たち」にはこんな小説手法ってありって驚かされ、
「旅のラゴス」、「夢の木坂分岐点」、「敵」、「パプリカ」
などなど常に驚かされ続けてます。
結局、小説にしろ映画にしろ虚構です。
夢の世界です。
決まりや約束事なんてないはずなんです。
それを分からせてくれる稀有な作家が筒井康隆さんなんだと思います。
今日は虚構船団のラストから
「ぼくかい。ぼくなら何もしないよ。
ぼくはこれから夢を見るんだよ。」
現実は夢の中にあるものなのかもしれません。
2008年2月29日金曜日
虚構と夢
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